第五章 参

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「多田 隆三郎、五十六歳。吉木 美也子、四十三歳。田村 俊介、三十二歳。田村 敬子、三十歳。田村 絵里、五歳……あぁ。この子じゃぁないな。吉木 秀夫、四十八歳。本庄 久子、二十八歳。……本庄?」  あのアパートが建っていた場所に、以前建てられていた目白荘。  火災によって焼失した事件の日時は既に一之瀬の調べによって把握していた為、容易に当時の新聞の縮刷版を見つける事が出来た。  こういった事件の場合、全国版よりも地元の小さな地域版の方が詳しい情報が載っている。  飯田は、記事を読み進めていく中で、本庄という名に目を留めた。 「確か。唯一、この火災で遺体が発見されなかった人物というのも本庄という苗字だった筈……」
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