第六章 壱

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 太くゴツゴツと骨ばった指が、彼女の肢体を這う度に、身を捩らせる姿が、更に男の欲情を増加させる。 「ハァハァ――嫌だ嫌だと首を横に振ってはいるが、お前のカオを見れば、よがっているようにしか見えないよ」  息遣いが荒々しくなっていくと共に、男の中心部に熱が集まる。  ヌメヌメとした生温かい舌で、少女の体中を舐め回せば、ゾワリと鳥肌が立つような感覚に顔を歪めるものの、まだ、性的行為どころか初潮すら来ていない彼女には、これから自分の身に起こる事が何なのかすら分っていない。  ただ、つい先ほどまで、優しく親切な近所の『オジサン』が、母の留守中に、いつものように遊んでくれていたのだが、一変にして獲物を狙う獣のような鋭い目つきで襲いかかり、尋常ではないほど昂ぶりを見せる男から発せられる欲情は、何も知らない子供ですら、今から自分の身に起こる事が良くないものだと本能で悟る。
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