第六章 壱

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「ンンン――」  体を強張らせ、されるがままになっていた少女も、流石にこのままでは危険だと思い、四肢に力を入れ、死に物狂いで抵抗を試みるも、所詮は子供と大人。  強い力で押さえ付けられれば、ビクともしない。 「逃げようなんて、悪い子だね――ハァハァ――いい子にしてないと、また、ママに叱られちゃうよ?」  男の言葉に少女は硬直した。  突然、記憶が鮮明に蘇ってくる。 『いい子にしてなさい』 『なんで言う事を聞かないの? 言う事を聞かない子はお仕置きよ!』  パンッ!  ドガッ! 『あんたんて、あんたなんて――子供なんて、生まれなきゃ良かったのに――』
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