第六章 壱

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『強くなる』『大人』という言葉を聞きけば、少女は何かを決意したような顔つきになる。 『子供なんて産まなければ良かった』と母親に言われ続けて来た彼女は、大人になれば、母親からも愛して貰えると思い込んでいたのだ。  そして、強くなれば、周りから何を言われようと、何をされようと泣く事も無くなるし、逆に、やり返せるとも思っていた。  この男は、自分を大人にしてくれる。  この男は、自分を強くしてくれる。  何も知らない、まだ年端もいかない少女は、男の言葉を鵜呑みにした。 「そうだよ――ハァハァ――ちょぉっと痛いかもしれないけど、我慢するんだよぉ――いい子にしていれば、オジサンがなぁんでも言う事聞いてあげるからねぇ~……いい子だ――いい子だ――」 
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