第六章 壱

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 少女の全身から力が抜けるのを見て取ると、彼女の両手を拘束しなくても大丈夫だと判断し、自身の片手から解き放した。 「それじゃぁ……オジサンとイイコトしようね」  全裸で横たわる少女の全身を、真上からじっくりと観察すれば、ゴクリと生唾を呑み込む。  室内に響くのは、獣が吠えるような声と、卑猥な水音。  そして、肉と肉とがぶつかり合うような乾いた音。  痛さのあまりに何度も何度も泣き叫び、声が掠れて出なくなる頃には、少女の体だけでなく、心までもが大切なものを失った。  色を失くした少女の瞳に映るものは、薄ら汚れた天井と、鈍い光を放つ電球だけ。
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