第六章 壱

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 生臭く不快な臭いが充満している筈なのに、少女の鼻はそれすらも何も感じない。 「このことは、オジサンとお前だけの秘密だよ。いい子にしていれば、どんどん気持ちよくなっていくからね。気持ちよくなった頃には、お前は立派な大人になっているよ」  男の言葉が、微かに残された少女の意識に刷り込まれる。  まだ子供だから痛いんだ。  同じ事をされて、痛みが無くなるって事は、強くなっているって事だ。  不安定な精神状態に更なる歪みが生じる。  少女の思考も価値観も。  純粋無垢ゆえに、狂わされた。
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