第六章 弐

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 事件の詳細を報告され、戸惑うのも無理はない。  助かった捜査員や博士の殆どは、犯人の姿など見えず、彼らの目に映ったものと言えば、いきなり体が宙を浮き、首に鬱血痕が現れだした東の姿。  突然、有り得ない力で首と胴体を切り離された無残な死を遂げた者や、狂ったように発砲しだした挙句、いきなり両手の指がグチャグチャになったかと思えば、数分後には口を大きく開き、一気に顎を引き裂かれた者。  それら一連の全ての原因が、幽霊の仕業というのだから、現場に居なかった人間にしてみれば、「ふざけるな」と一蹴するものの、監視カメラの映像を確認すれば、彼らの証言に間違いはなく、頭を抱えざるを得なかった。  とはいえ、それらを馬鹿正直にマスコミを通じて、世間に発表など出来やしない。  警察としては、あくまでも、犯人は『生きている人間』でなくてはならないのだ。
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