第六章 弐

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 特に、今回のような凶悪犯罪に関しては、警察の威厳を保つためにも、犯人が幽霊や呪いだという非科学的なものなど、あってはならない。 「犯人がいないのならば、犯人を捏造すればいい」  捜査本部で行われた緊急会議にて、誰かがポツリと言った一言に飛びついたのは、殆ど現場を知らないキャリア組。  警察の威厳やプライドといった、体面ばかりを気にする集団だ。  彼らが目をつけたのは、やはり、夏樹 優子。  立て続けに起きた、不可解且つ残虐な連続殺人事件に於いて、常に近くに居るにも関わらず、彼女だけが無傷というのは、どう説明されようと、理解出来るようなものではない。  幽霊だの呪いだのの仕業といえど、その元凶が彼女だと思われても仕方がない状況である。
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