第六章 弐

5/14
647人が本棚に入れています
本棚に追加
/715ページ
「佐々木警部補」 「はい」  普段、あまりお目にかかる事のない警視長から名前を呼ばれ、嫌な予感がしつつも、姿勢を正し、はっきりとした声で返事をする。 「君はVAN・TIERAで起こった事件の後、夏樹 優子の警護及び目撃証言を聴取する役目を担っていたな」 「ええ」 「今、話しを聞いていた通り、この一連の事件の首謀者は夏樹 優子と断定。凶悪犯につき、拘束及び押送にも充分警戒が必要だ。しかし、君は、彼女と一緒に居ても、危害が加えられた形跡が一切ない」  奥歯に物が挟まったような言い方は、明らかに、佐々木が自ら夏樹を拘束し、押送すると申し出るようにという意味合いが強く含まれている。
/715ページ

最初のコメントを投稿しよう!