第六章 弐

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 すぐさま任務を遂行しようと、背筋を伸ばすと、キッチリと敬礼をし会議室を後にしたところで、一之瀬に電話をかけたのだった。 「では、先輩。まだ、夏樹とは?」 「ああ。これから彼女を拘束し、更に特殊な場所。さっきも話したように、上層部が、彼女を犯人と断定した為、一般人が知らない凶悪犯ばかりが集められた刑務所の中にある独房へ押送しなくてはならない」  誰かに聞かれぬよう、佐々木は、普段あまり使われていない地下にある資料室で、扉に鍵をかけているにも関わらず、警戒心の表れか、声を押し殺して会話する。 「これだけ多くの人間が殺されて、その犯人が『幽霊でした』では、警察の名誉に傷がつきますからね。自分達の保身の為には冤罪だと分かっていても、犯人をでっちあげる。頭でっかちで、見えるものしか信じない、見栄とプライドの塊のような警察の考えそうな事ですね」
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