第六章 弐

10/14
前へ
/715ページ
次へ
 いくら拘束してあるとはいえ、もしもの時に彼女が佐々木に襲いかかり、逃亡するとも限らない。  そういった危険回避といった理由から、佐々木ともう一人、信頼の置ける部下との二人で覆面パトカーを使って任務を遂行するよう命じられている。 「これは私の方から上に許可を貰ったんだが、倉橋君にも手伝ってもらうつもりだ」 「倉橋――ああ、圭吾さんが信頼している人のお子さんですね」 「うん。生身の人間相手なら問題ない事でも、流石にいつ何時、『彼女』が現れるか分らないしね」  目の前で、何人もの人間が、見えない力によって殺されていくのを、どうすることも出来ずにただ、見守ることしか出来なかった自分の不甲斐なさに、声が沈む。
/715ページ

最初のコメントを投稿しよう!

647人が本棚に入れています
本棚に追加