第六章 参

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 それもその筈。  一之瀬と飯田に話した計画を、武ノ内の手前、倉橋にはまだ話していないのだ。  夏樹を府刑に送るという事が、彼女を犯人に仕立て上げるつもりなのだと勘繰り、敵意を表すのも無理はない。  彼にとっては、警察の体面云々など関係なく、あくまでも飯田に雇われた人間であり、彼の依頼を忠実に遂行するのが第一なのだから。  ここで全てを話してしまうという選択肢もあるが、そうなれば、自分達の計画に、何の関係もない武ノ内を巻き込む事になってしまう。  何も知らなければ、全て自分のせいにして武ノ内を守る事が出来るが、知ってしまったらそうはいかない。
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