第六章 肆

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「来た」  予め指示された場所で待機していた一之瀬と飯田は、佐々木一人で行動している訳でもないのに、まさか、こんな人気のないルートを、よく怪しまれずにこれたもんだと感心した。  路肩に停めていた車の中から一之瀬だけが車道に出ると、すぐ手前で白い車が停車する。  刑事ドラマのように、クラウンやフーガといった高級セダンではなく、アリオンという名のミドルセダンだ。 「実は他の捜査班が追跡していたとか、一緒に任務にあたっている部下が分からず屋だったとか。そんなシチュエーションを想像して、圭吾さんと、派手なカーチェイスを妄想していたんですが……拍子抜けするほど簡単に連れて来れましたね」
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