第二章 壱

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「あいこ、もうじきホイクエンをソツエンするんだって。そしたら今度はショウガッコウに行くんだって」 「そうみたいねぇ。愛子も今度の誕生日で六歳になるものね」 「ショウガッコウって、楽しい?」 「そうねえ。保育園と同じで、沢山のお友達が出来るわよ。それだけじゃなくて、愛子の大好きな本も沢山あるわねぇ」 「わぁーい! 早く行きたいな!」 「いい子にしていれば、すぐに行けるわよ。ホホホ」  春先の夕暮れ。  まだ、肌寒さの残る中、小さな手をギュッと握る祖母の手は暖かく優しくて、愛子は幸せそうに微笑んだ。  この時までは父親がいなくても愛子は幸せであった。           
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