第二章 弐
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「く、来るなっ! こっちに来るんじゃねぇっ」 時折、後ろをチラチラと振り返りながら、引き攣った声を上げて闇雲に走り回る男。 小さな悲鳴を漏らしては腕を大きく振り回し、何かを蹴りあげるような格好をしたりと、傍目から見れば精神に異常をきたしているのか、それとも、よからぬクスリでもやっているようにしか見えず、すれ違う人は皆、道路の端に寄って、体が触れぬよう、目を合わせぬよう避ける。
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