もののあはれ

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テレビに映っているのは20代中盤程の外国人男性。 主に車の歴史に関する研究をしている『ロムルス・オリオーネ』研究員。 まだ知られていない過去の出来事・謎の多い出来事などを解明する為に忙しい日々を送っているのだが、忙しさが気にならない程車が好きなので幸せなのだそうだ。 今回はとある車関連の番組のゲストとしてお呼ばれされ、遥々海を越え日本のテレビ局での生放送に出演。 「車は機械ですので意思はありません。自動操縦機能の研究なども行われておりますが、それはあくまでも機械の操作であり車の意思ではありません。」 誰から見ても美形な顔立ちは優しい表情を作り上げている。 車を愛する者でなければ出来ない笑み、言葉からの節々から車への情熱が迸り視聴者のみならず、番組ディレクターや司会までもがロムルスから目を離せず次の言葉を待っている。 「この番組をご覧になっている方々にも似たような事を思った方がいるかもしれません。人を乗せる機械に過ぎない、意思は無い...無いはずなのにふとした瞬間...ひょっとしたら存在するのではと。数値以上の性能を引き出したり車と一体化するかの様な感覚に陥った事がある方も居ると思います。何故そんな事が起こるのか?ドライバーの思い違いなのでしょうか?...笑われてしまうかもしれませんが私はそうは思いません。そんな漫画やファンタジーに過ぎないであろう事を感じる・思ってしまう事があるのです。いえ、例え意思が無かったとしてもこれだけは断言してみせます。」
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