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「じゃあ、またセフレ?そんな関係のどこがいいの?私達もうすぐ三十歳なんだよ。いい加減、本気の恋しなさいよ」
真剣な顔で私をたしなめる佑月に「本気ね~そんな恋なんて、まっぴらごめんだよ」と言葉を返し、視線を真っ青な空に向ける。
晴天の空に浮かぶ一筋の飛行機雲が、私には空を引っ掻いた大きな傷跡に見えた。
私を本気で愛してくれる男なんていなのに、どうやって本気の恋なんて出来るのよ?
―――もうすぐ私は三十歳のアラサーだ。将来の事を考えれば、この先、共に生きて行く人生の伴侶を探すべきなのかもしれない。でも、どうしてもそんな気になれない。
私の中から"結婚"という二文字が消えたのは、三年前。目の前の佑月に彼氏ができたと告げられた時だった。
その彼の名前を聞き、私は震えが止まらなかった。だってその人は、私が付き合ってると思っていた彼氏だったから……
私達の関係を絶対に会社の人には言わないでほしいと言う彼の言いつけを守り、私は親友の佑月にも話していなかった。
彼を問い詰めると、佑月とは私と付き合う前から交際していて、私はただの浮気相手だったと判明。恥ずかしい話しだけど、その彼の事は本気で好きだった。だから結婚も考えていたんだ。
今度こそ幸せになれると思っていたのに、よりにもよって、愛する彼の本命が佑月だったなんて……
当然、その事は佑月には言えず今まで黙っていたけど、佑月に申し訳ないという気持ちはずっと持ち続けてきた。
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