第1章 愛なんていらない

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そして私は男性不信に陥る事になる。でも、その一件が全ての原因ではない。佑月の彼氏と付き合う以前にも、同じ様な事が何度もあった。 その度、男どもは同じ言葉を口にする。 『君は本命ってタイプじゃないんだよね』とか『セックスはいいんだけど、愛せない』とか……女にとって致命的な言葉ばかり。 挙句の果てに『君は愛人体質なんだよ』なんて、勝手に決めつけてフェイドアウトしていく。 冗談じゃない。愛人体質ってなんなのよ?それならもう男に愛なんて求めない。その愛人体質ってやつを最大限利用して、自由奔放に生きてやる! こうやって、私、朝比奈梢恵(あさひな こずえ)は、数人の男達と愛のない体だけの関係を続けてきた。 今思えば、私が愛人体質だと言った元カレの言葉は当たっていたのかもしれない。それはそれで充実してたし、楽だった。 でも、久しぶりに別れた佑月の彼を会社で見掛けた時、虚しさが胸を締め付けた。 私、何やってんだろう……って。 同じ日に会社に入社して、同じ仕事をし、同じ人を愛したのに、私と佑月は全く正反対の生き方をしてる。佑月は結婚間近で幸せ一杯。それに比べ私は、先の見えない転落人生。明と暗。光と影だ。 でも、この生活を変えようとは思わない。だって、そこにしか私が生きていく場所がないから……私は、愛されない女なんだから…… 「ねぇ、そんな事してて、虚しくないの?」 せっかく自分を納得させたのに、私の心の中を見透かした様な佑月の一言が胸に鋭く突き刺さる。
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