五夜、本気になったら負けだと思う。

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自分の方が熱があったくせに。 此処にも一人、龍一より泉さんよりも。 私の屈折した性格を上手に分かっている人がいた。 カラカラに乾いて、艶やかな夜をほのかに欲す私を、遊馬さんはきっととっくに見抜いている。 「お、お友達はすっげ美人さんだ」 「こんちはー。美琴、めっちゃアンタのタイプそうな人じゃん。誰?」 「え、あ、泉さんの弟…」 その言葉に、千夏が遊馬さんを振り返り爆笑した。 「全っ然似てねーー!」 「…そこまで清々しく言われると、逆にちょっと気持ちいいね」 「何を言ってるんだか」 そう言いつつも、千夏と一緒に駅に入り、改札口で別れてしまった直後――。 家に帰りたくないと、私の全身が言っているのに気づいた。 「どうした?」
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