五夜、本気になったら負けだと思う。

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「一つ、聞いていい?」 深いため息を吐いた後、遊馬さんは言った。 「アンタが欲しいのは、何?」 何? その言葉に、胸が痛くなった。 「兄貴が欲しいの? 兄貴っていう環境が欲しいの?」 「ち、がう。それが欲しいわけじゃない」 「アンタが欲しいモノって、アンタを見てくれる人なんじゃね?」 その言葉にぎゅっと目を閉じた。 「兄貴は、あんな風に静かに壊れていかなくちゃ自分を守れなくて、――周りも一緒に壊れて行くのを気付いてないし、気付いても近づいてきたアンタが悪いって思ってる。兄貴からは距離を取る気もないし、――これ以上は近づいてもくれないよ」 「……」 「それでも欲しいなら、ぶつかればいい。今の関係壊してでも」 泉さんとの今の関係を壊して、ちゃんと恋愛する。 それは、私が望んでいることではない。 私は恋愛から逃げる対象に――泉さんを選んだんだから。
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