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浮世離れしたその人は、綺麗な笑顔でやんわりと人を拒絶していた。
このラインから入ってくるな。
そう全身から刺々しいオーラを放ちながら、柔らかい笑顔で人と適当に関わって逃げている。
この世に興味なんてなさそうな人。
「泉部長って」
残業するふりをして、残っていた彼に珈琲を差しいれしながら私は笑った。
普段は名字で賢木部長って呼ぶのに、馴れ馴れしく下の名前で呼ぶ。
「高校時代に亡くなった彼女が忘れられなくて人に興味ないんですか?」
「え」
貼りつけた笑顔が剥がれて切れ長の目を見開いた。
「私はそんな泉部長がちょっと気になってます。なんか、面白くて」
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