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二十代半ばから三十代と思われる遺体は、鉄パイプ状のもので滅多打ちにされ酸鼻な状況だったという。失血性のショックに加え、折れた肋骨が肺を突き破ったことが直接の死因だということだった。
検死解剖を終えて、晶一の亡骸は帰ってきた。骨や内蔵が見えそうなほどぼろぼろになった体は丁寧に縫合されていた。
担当の警察官がわかる限り、死んだ時の状況をおしえてくれた。
晶一が所属していた組と、競合する組の相手が例の不良たちの裏で糸をひいていた。晶一は自分の配下を誰も連れず、相手の組の者ではなく、不良連中のほうを呼び出して単身でケリをつけようとしたらしい。
十数人相手に銃器ももたずにひとりで乗りこんでいった。最初はそれでも勝機はあったようだが、晶一の暴れぶりにあわてた相手はあっちこっちから増援を呼んだ。恐怖は必要以上の反撃を招き、晶一は何十人もの男たちに取り囲まれ、とうとう動けなくなってあとはひたすら暴力にさらされた。
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