紫煙の惑星

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「変ですねー。政府には、今日はSSCの船がくるから禁煙デーにしておくよう伝えたのですが」  宇宙広しといえど、役人の性分は不変なのだろうか。  そんな布告だけで喫煙は阻止できまい。おそらく律儀に禁煙しているニチンチコ人は一割もいないはずだ。おまけにSSCの粗悪なタバコを吸っているから、全員ニコチン中毒の可能性が高い。  この際だから暴露するが、SSCのタバコは、刻んだ葉っぱの中に排泄物や汚染廃棄物が多量に含まれている。そう。中毒性の高い偽造タバコの類だ。取引相手は、今までタバコを吸った経験がない異星人ばかり。やりたい放題にできたからこそ、SSCはボロ儲けができ、今の地位を得たのだ。 「おいおい。冗談じゃないぞ! このままじゃ船ごとおじゃんだ」  がなるアラーム装置を殴りつけ、立場も忘れて怒鳴り散らす。  万が一、ビルや住宅街、すなわちニチンチコ人が密集している場所にでも突っこめばどうなる? 星間戦争、いや、宇宙戦争が勃発しかねない。たかがタバコ。されどタバコ。この事故を機に、SSCが取引を中止すれば、ヤニの切れたニチンチコ人どもが暴れだすに決まっている。
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