17/18
413人が本棚に入れています
本棚に追加
/382ページ
金龍に言われるがままに佐久間がカウントダウンを始めた。 「10、9、8、7………」 金龍が豪快に居間を飛び回り、宙に漂う頭部を呑み込んで行く。飛び回ると言っても、金龍の全長が二十メートルはあり、居間に収まりきれるものではない。 居間を突き抜けて、捜査官達を素通りして、部屋中を自在に飛び回る。 居間は金龍の金色の光で満たされていた。 美鈴が抜刀した。 「……3、2、1、0」 天井一杯に広がっていた豪将の顔の眉間に蒼白い炎が灯った。 豪将の顔からは断絶間の叫び声が上がったが、炎は瞬く間に天井に広がって豪将の顔を燃やし尽くした。 「狐、今だ!」 金龍が叫びながら、今度は天井の蒼白い炎をひとのみに呑み込んだ。 ドーン!! 落雷が直撃したような轟音とともに、居間に広がっていた金色の光が爆発して消えた。 「………涼!!」 結花から感涙に満ちた声が上がった。 櫻井と、隣には少年の姿の月岡が立っていた。 「奥さん、すまないが感動の再会は少し待ってくれ。 狐、豪将を捕らえたか? 涼、行くぞ!」 月岡が煙草をくわえながら言った。
/382ページ

最初のコメントを投稿しよう!