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金龍に言われるがままに佐久間がカウントダウンを始めた。
「10、9、8、7………」
金龍が豪快に居間を飛び回り、宙に漂う頭部を呑み込んで行く。飛び回ると言っても、金龍の全長が二十メートルはあり、居間に収まりきれるものではない。
居間を突き抜けて、捜査官達を素通りして、部屋中を自在に飛び回る。
居間は金龍の金色の光で満たされていた。
美鈴が抜刀した。
「……3、2、1、0」
天井一杯に広がっていた豪将の顔の眉間に蒼白い炎が灯った。
豪将の顔からは断絶間の叫び声が上がったが、炎は瞬く間に天井に広がって豪将の顔を燃やし尽くした。
「狐、今だ!」
金龍が叫びながら、今度は天井の蒼白い炎をひとのみに呑み込んだ。
ドーン!!
落雷が直撃したような轟音とともに、居間に広がっていた金色の光が爆発して消えた。
「………涼!!」
結花から感涙に満ちた声が上がった。
櫻井と、隣には少年の姿の月岡が立っていた。
「奥さん、すまないが感動の再会は少し待ってくれ。
狐、豪将を捕らえたか? 涼、行くぞ!」
月岡が煙草をくわえながら言った。
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