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「行くって何処へ?」
櫻井が月岡に尋ねながら美鈴を見て、驚きの声を上げそうになったが、それを月岡が制した。
「狐が豪将を捕らえている。くつろぐのは、こいつの処分が終わってからにしろ」
美鈴の軍刀には大山椒魚に似たものが串刺しにされて蠢いていた。
「これが豪将の姿なのか!?」
「生きるだけ生きたら、死ぬのが人の定めだ。
理に反して、他人の命で生き長らえて来た外道の本性なんぞ、所詮こんなもんよ」
「処分とは?こいつを殺すのか?」
「こいつには地獄にすら立ち入る事は許されない。死、即ち消滅だ。
もはや、こいつに霊力が満ちる事は無いが、霊力の全てを封印した上で雄一の身体に適合させる。
佐久間、雄一は死刑になるよな?」
「最低でも、五人の殺害は立件出来るので、間違いないと思います。ただ、雄一の身体はもう限界では?」
「俺の力で、十年は生き長らえさせるように治療を施す。豪将には己れの犯した罪と、死の恐怖を味わってもらう。
行くぞ、狐、涼!」
月岡の声とともに三人と豪将の姿が消えた。
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