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豪将が斎藤の前で立ち止まった。 斎藤は豪将に掴みかかろうと試みたが、斎藤の手は豪将の身体を素通りしてしまった。しかし、豪将の右手は斎藤の腹に突き刺さっていた。 呻き声を上げる斎藤の口から、微かに光る煙のようなものが涌き出て来た。豪将がそれを吸収するように吸い込んだ。 「みんな、怯むんじゃねえぞ!テメエの命に代えてでも親子を守れ!」 豪将に捕らえられたままの斎藤が叫んだ。 櫻井が豪将に向かって突進すると、豪将が姿を消した。 「オッチャン。大丈夫か?」 櫻井の問いに斎藤が頷いて答えた。苦しそうに喘いでいる。 「ああ、腹を刺された感触はあったが外傷はないようだ」 「ううっ……」 今度は植松から呻き声が上がった。 全員が斎藤に気を取られている隙に、植松が豪将に首を締め上げるように持ち上げられており、植松の口からも光る煙のようなものが溢れていた。 櫻井が植松を救う為に、植松のもとに移動した。 だが、その瞬間に豪将の姿は扉の前に移動していた。 「この状況で、お前ではワシを止める事は出来ん!」 そう言うと豪将が可笑しそうに笑った。 確かに、櫻井が宙に漂う頭部を傷付けずに捜査官を助けようとする事には無理があり、瞬間移動をしたとしても先手を取れる豪将の行動に追い付ける訳は無かった。
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