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「一本のウイスキー。それが涼さんだとします。ウイスキーが濃かったら水で割るでしょう? ストレートで一本空けても、水割りで一本空けても一本は一本です。 豪将にとって涼さんから放出されたエネルギーは、吸収するには濃すぎて毒となります。だから少しずつ、放出前のエネルギーを涼さんから直接吸い取っているんです」 ( ……なるほど。そう言うことか。) 如何なる事態にあっても、諦めなければ必ず何処かに勝機はある。 それが櫻井の持論であり、生きざまだった。 櫻井の口角が微かに上がった。 佐久間の言葉に櫻井は勝機を見出だしたが、同時に問題もあった。 佐久間の例え話しのように自分を一本のウイスキーに例えるなら、もう八割以上は豪将に飲まれてしまっている。 自分自身の存在も含めて、残された自分のエネルギーを全て注ぎ込んだとして、その力で豪将を倒せるのだろうか? 豪将が蔑むように櫻井を見つめていた。 「つくづくバカな男だ。お前はまだ動けるのか?」 「もちろん。それにまだ、お前を倒す力は残っている!」 「それでは、そろそろ遊びは終わりにしようか。次は倅だ!」 そう言って豪将が大介を指差した。 櫻井と豪将が瞬間移動をした。 大介の周囲は捜査官達が取り囲んでいる。櫻井は大介の頭上へと移動したが、豪将の姿が見当たらなかった。
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