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自分が猫又である事を悟られまいとして、居間の隅で丸くなっていたビリーが唐突に口を開いた。 「父ちゃんが絶対に勝つ!ママも大介も安心するニャン」 居間にいた一同は、佐久間以外にはビリーが猫又である事を知らないので、声の主を探して辺りを見渡したが、ビリーは丸くなったまま寝たふりをしていた。 ビリーの耳がピクリと動いた。 突然、大きく目を見開き「ニャーゴー」裏返った声で嘶いた。 その直後、窓を閉めきっていた筈の居間に一陣の風が吹いた。 風は小さな竜巻となって居間の中で渦を巻いている。 「金色の竜巻!?」 大介が一人言のように呟いた。 竜巻は金粉でも捲き込んだように確かに金色であった。 一同が見つめる中、竜巻は少しずつ勢力を弱めてゆき、完全に竜巻が収まった瞬間、誰もが驚きの声を上げた。 人の背丈程の大きさの頭を持った金色の龍と、花嫁衣装のような白無垢を着た女が姿を現したのである。 若干、透けて見えることから、いずれも霊体であることは見て取れるが、龍の霊体は胴体が居間を周回するようにとぐろを巻いていた。 「な…何者だ!?」 さすがの斎藤も龍の迫力に腰を抜かしかけたが、気を取り直して白無垢の女に問いただした。
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