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白無垢の女は、口元の無い、ハーフタイプの白狐の面で顔を隠しているが、その正体の主に佐久間とビリーは一目で気が付いていた。 金色の龍は隆円の祖父である月岡仁介が変幻した姿である。 斎藤の尋問じみた口調に、言い淀んでいる狐面の女に助け船を出すように、佐久間がおどけた口調で尋ねた。 「コンコンコン…お狐さん。お狐さんは何者?僕達の味方なの?龍神さんは隆円さんのご先祖様ですよね?」 「よく俺の正体がわかったな」 金龍の迫力には似つかない少年の声で金龍が口を開いた。 「姿を変えても魂の持つ波動は変わりません。龍神さんの波動は隆円さんと似ている」 意味ありげに佐久間が返事を返した。 狐面の女の正体は美鈴である。 美鈴であるのは霊体から感じる波動で確かなのだが、面で顔を隠している上に、およそ二十代と思える容姿に姿を変えていた。 わざわざ、そのような容姿で美鈴が登場したのには、何かしらの理由があると感じたからこその、佐久間の気転だった。 「私は助っ人の狐です。でも、もう私の出る幕は無さそうね」 大人の声で言いながら美鈴が手に持っていた軍刀の柄をカチャリと鳴らした。
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