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「…たけし君」
たけしは背後から急に声を掛けられた。
振り向くたけしの視界に、料理が載った皿を持つ、満面の笑顔の少女が写る。
「…食べて…お母さんの足料理」
「えっ?えっ?えっ?」
たけしには少女の言葉の意味が分からなかった。
「…はい…食べて」
少女は笑みを浮かべたまま、皿をたけしの前に差し出した。
「い、いいらない!」
たけしは少女の手を払い退ける。
「……お母さんのところに連れていってあげる」
床に飛び散った料理を見詰め、少女は口を開いた。
「…マ、ママはどこなの?」
たけしは少女から後退りしながら、問い掛ける。
「…体の一部はたけし君のお腹の中だけどね…あの世だよ!」
少女は叫ぶと、たけしに向かい走りだした。
終わり
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