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初めの勉強でオイラには社会科、風の魔法の適正がある事が分かっていた。風の魔法は不可視であったり物を運んだり浮かせたりという用途に長けていて、もともと早かったオイラの足をより素早くする事にも活きた。ただ、当時それ以上に嬉しかったのは風、つまり酸素が炎の燃料であると分かった事だ。以来オイラはティーチに疑念を抱くまでの数日を風により多くの酸素濃度を加える練習に明け暮れ、ティーチと共に悪を打ち倒す姿を夢見たものだった。それが……今はどうだろう?ティーチは正義の味方なのか……それとも仇か……今もそれをグリーンに聞いてみたくなっている。しかし、それをそのまま口にする事はダメだ。絶対ダメ。だってグリーンは明らかにティーチよりの人間だし、人は見かけによらず恐ろしい生き物だという事はこの前の血走った眼の人達から嫌と言う程に教えられたばかりだ。お前はこの町で一番大人に近い子供、パウロだ。そうだ、大人には大人の聞き方があるはずだ。
「ねぇ、グリーン?」
「ん?なぁに?」
湯船に浸かって数分だというのにすでに顔を赤らめたグリーンが聞き返してくる。
「グリーンはティーチの事、どう思うの?」
遠まわしに聞く、それが大人のやり方だ・・・・・・多分。
「ひぇへっ!?」
ビクッっと驚いた様にグリーンの体が反応する。
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