近況

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正義とは何か? では悪とはなんだろうか? 正義を決めたのは誰か? それは誰にとっての正義なのか? オイラは最近そんな事ばかりを考えている。最愛の人に裏切られて三日、いや、裏切りを知って3日が過ぎた。村にやってきたティーチとグリーンによってその企みは退かれ、今や二人は村の英雄扱い……正真正銘の正義の味方だ。でも、それは万人にとってとは言い切れない。初めはオイラもそう思ったし、思おうとしていた。けれど時間と共に疑問が芽生えて、気付けばそれが頭から離れなくなった。だって、オイラから見たらティーチは義理の父を手にかけた首謀者だ。ティーチに出会わなければ、今もあの仮初の幸せの中にオイラはいたのだろうと考えてしまう。考えずにはいられない。あぁ、分かっている。あれはオイラを救ってくれたんだ。でもそれを認められるほどオイラは大人になれないでいた。そして、そんな思考の末は決まってこう帰結する。 善悪に過剰は子供か? 大人は揺るがない者を指すか? ならオイラは・・・・・・ 「早く大人になりたい」  それこそが一番子供っぽい考え方なのかもしれない。それでもオイラは思っていた。いや、信じていた。大人になればこんな事に悩んだりはしないのだと。 オイラの家から5キロ弱離れにある町はずれは見渡す限りの荒野が広がっている。砂埃のむせ返りそうな香りと見るに値しない風景は自然と自分の一番の悩みと向き合う時間をオイラに強要してくる。 「ばぁ!」 「うわぁっ!!」  オイラは考え事の最中だというのに空気も読まずに突然目を覆われた。突然覆われた手と耳元で聞こえた女性の声に心底驚いたオイラが振り返ると、そこには元暗殺者の女性、グリーンがいた。 「なによ。人をお化けみたいに・・・・・・」  それ以上だ。元暗殺者にしてSS(サイレント・ストーカー)とまで呼ばれた無音暗殺術の使い手による尾行なんて冗談じゃない。
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