エピローグ

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熱が冷め、愛情を感じなくなった夫を呪い殺したのが、今から約三年前。 幼い頃、大昔に植染で生活していた村民の子孫だという祖母に聞かせてもらった生贄の儀式を利用し、夫を事故死させた。 住んでいる家からなるべく離れた場所で飼われていた犬を儀式の贄に捧げ計画を実行したときは正直半信半疑ではあったのだが、本当に願いが叶ったと知ったあの瞬間の、驚きと解放感が胸を満たしてくれた感覚は今でも忘れられない。 煩わしいとしか思えなくなった夫がいなくなり、それに対して自分は罪に問われない。 そして、多額の保険金の入手。 周囲や二人の娘に喜びでほくそ笑む自分の本心を悟らせないよう振る舞うのは、なかなかに大変だった。 娘二人が高校を卒業すれば、後はもう遊んででも暮らせる。 そう思い、母子家庭で苦しい生活をしているよう演技をしながら適当にパートを続けていた里子だったが、一年ほど前に職場の上司である目の前の男と恋に落ちた。
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