秋本 夢美――①

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            1 六月五日、土曜日。 穏やかな日差しに恵まれたその日は、何の変哲もない平穏な空気で朝を迎えた。 特に部活もしていないあたしにとっては、土日祝日は常に自由な時間。 友人やお母さんには何でも良いから部活はやった方が自分のためみたいなことをたまに言われたりもするけれど、聞く耳なんて持つつもりもない。 ほんの三ヶ月くらい前まで通っていた中学校ではソフトボール部に入っていたけど、正直楽しいと思えた瞬間なんて一度もなかったし。 大体、授業が終わってまで学校にいるなんてあたしには考えられない。 学校を終えたら家に帰り、同じ帰宅部のお姉ちゃんとくだらない話をしたりゲームで遊んでる方が何十倍も有意義に感じる。 自分で思うのもおかしな話かもしれないけれど、あたしは小さい頃から根っからのお姉ちゃんっ子だった。 遊ぶのも、寝るのも、おやつもお風呂も、小学校五年生くらいまでは何でも一緒じゃないといられないくらいに。
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