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カーテンレールに括りつけたベルトに首を引っかけ、だらりと舌を伸ばしてぶら下がるお姉ちゃんの姿は、まるで精巧にできたホラーハウスの人形の如き異質な存在感を示し、昨夜まで当たり前に生きていた姿とは似ても似つかない非なるものに思え言葉にし難い奇妙な感覚を味わわされた。
だけど、目の前にぶら下がるのは間違いなくお姉ちゃん本人。
「……お姉……ちゃん?」
あたしは、呆然となりながらふらつく足取りで室内へと入り、お姉ちゃんの側へと近づいていく。
「……」
生きている気配は感じない。
お姉ちゃんはもう、完全に動かないものになっている。
そう悟りながら、漏れたのであろう尿で濡れたパジャマと床へ目を移し、その足元に一通の封筒が置かれていることに気づいた。
それをそっと拾い上げ、中に入れられていた一枚の手紙を抜き取り文面を開く。
「…………何これ?」
見慣れたお姉ちゃんの字が、そこには並んでいた。
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