オトナリさん。

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 なんとなく意識の外側の方で響いたチャイムの音で、まるで海の底から泡が水面に浮き上がるようにふわりと自然に目が覚めた。  朦朧とした回らない頭のまま立ち上がると、ゆっくりと玄関に向かい、扉を開ける。 「……えっと、どちら様ですか?」  今は何時だろう。少し傾き出した太陽が開け放った扉の向こうの空と目の前に立つ人物を淡いオレンジ色に染めていた。  そこに立っていたのは見知らぬ茶髪の青年。  突然の来客に戸惑う私を他所に、逆光でわずかに顔に影のかかったその青年は、しかしその影に負けないくらい明るい人好きのする笑顔を浮かべた。  ふわりと風が吹く。  オレンジ色に透けるような、どこか儚くも美しいその青年が口を開いた。 「はじめまして、オトナリです。」
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