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しかめっ面のおじさんはギザギザのサラダを指差し言い放つ。僕は味なんかどうでもよくなってきて、それを一気に口に放り込んだ。
肩にいる雲助は何食わぬ顔?でサラダからきゅうりを6本の足で取り出し、食べていた。
息苦しい食事は40分以上も経ったように思えた。お腹がギュウっとなった。ぞんざいな食事を終えてドアから外へ出ると……急に涙が出てきた。
……こんなに悲惨な食事は両親を思い出す。
「災難だったなヨルダン」
雲助が話す。
「たまにこういったことが起きるんだ。この館はいいことだけじゃないのさ」
僕は涙を拭いて、早めに立ち直るために力強く歩きだした。
「これがトラウマっていうのかな……? さあ、行こう!」
僕は雲助に辛かった気持ちを跳ね退けて元気よく発声した。
こんなことでこの探検を終わらせたくなかった。物凄くいい事がある。そう……きっと。本当の探検はこれからだ。
三日後のハリーのショーはいったいどんなものなのだろう。僕はワクワクしているはずの心に、不思議とざわざわと不可解な感じの部分に気が付く。
館を奥へと行くのではなく、三日後のハリーのショーがあるので灰色のドアを開けずに、探検をすることにした。
今度は四・五段だけの階段の正面のドアを開ける。
そのドアは淀んでいる青だった。中には複数の人が住んでいた。いつも緊張していてとにかく真面目そうな人たちだった。
「あなたは?」
真面目そうな人たちの一人が声を掛けてきた。
「僕はヨルダン。あなたたちはどなたですか?」
僕は敬語や丁寧語には慣れっこだ。意地悪な両親に幾度も教えられている。
その部屋はけっこう広くになっていて、住人は3人もいる。質素で地味な家具が置いてある部屋だった。
手前の神経質そうな小柄の男性が、
「僕たちは学者なのさ。この館を研究している。例えば、この館には幾つ部屋があるのか、館から出られるのか、この館は何時頃建てられたのかなど、調べたり考えたり」
「それは僕も知りたいことです。今はどんなことが解っていますか。良かったら教えて下さい」
すると、部屋の奥にいる長身の男性が、
「この館は、約700年前に建てられたようだ。館の主はジェームズ・ハントという大地主の狂人で、それぞれ大き過ぎる館だったようで、それらをそれぞれ滅茶苦茶に改造した後にくっつけたようだ」
「ジェームズ・ハント?その人が造った館……」
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