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4・5段の階段の正面の部屋を除けば、後は正面の部屋から二つの通路が伸びていて、丁度Vの字になっている。一つはさっき来たところ。あのしかめっ面のおじさんと陰気なおばさんがいた部屋があって、まだ開けていないドアやいった時がない通路が幾つかあるが、だいたいは人が住んでいそうなドアだ。もう一つはドアがまったく無く。変りに壮麗に武装した天使の絵が二つ向かい合って描かれた扉がある。
書き記そう。僕がおじいちゃんの館へと入ってから、絵の具の人型にあったところはさすがに解らない。赤いドアの筋肉隆々のおじさんのところからは迷路だったので、しっちゃかめっちゃかになった。幾つか道があるかしら?だから、金色の両開きドアから書くと、そこから迷路や二三段の階段がある斜めの通路を歩き、しばらくすると灰色のドアに到り、(勿論、その他のドアも通路には当然ある)それから、少し行くと淀んだ青色のドア、グッテンがいたところに到る。単純にはこうなる。でも、細い道が幾つか到る処にあるので、簡単には行き来出来ないんだ。
「当然、天使の絵がある扉さ」
僕は怖いものがない。堂々と通路を歩く。
「ヨルダン! 中の中には入っちゃなんね!」
雲助がそう言い終わる前に僕は重い扉を開け放つ。
そこはとても大きいガラスが隔ててあり、その向こうにはお城のような透明度のある白い両開きドアがある。大きいガラスには大きめの青色のエプロンを着た何人もが、洗剤を付けたボロ雑巾を持って必死に拭いていた。
大きいガラス。まるで、空間と空間を隔てるバリアのように、お城のような両開きドアを守っていた。
そこは広い空間。何十人もの窓拭きのような作業をしている人を易々と招き入れることができ、息を窓に吹いているものや洗剤をふんだんに使って拭いている人……壁や天井はやはり天使が幾人も羽ばたいていた。
その中に、あの赤いドアの筋肉隆々のおじさんがいた。
「ようおチビちゃん。こんなところに何の用だ。子共はまだ仕事をしなくてもいいんだぜ」
ガラスを拭くのを止め、おじさんがこちらに気付いて話しかけてきた。
「何をしているの?」
「何って? 仕事さ」
「これが仕事?」
おじさんは首を傾げたが、
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