不思議なドア

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 雲助がまだ目覚めそうもない僕の肩に乗っかり、 「夢から覚めてくれ」  僕は東の国に行って沢山の軍資金集めをしながら、一週間後の戦争をどうしようかと考えていた。 「おい、ヨルダン」  雲助の声が耳元にするが、生憎と僕は戦争で秘密兵器のHBシリーズの戦車を使おうと考えていた。 「ヨルダン……。起きろ」  僕はやっと、戦争を起こしそうな雰囲気を醸し出した奥行きのある倉庫に入ったところで、夢から覚め始めたようだ。 「お早う雲助」  僕は元気を取り戻すが、何時間とガラスを拭いていたので、さすがに疲れと右腕の痛みを覚える。 「いたた。右腕……耳……痛いよ」  雲助が僕の耳を6本の足で引っ掻きだした。  僕は慌てて起き出すと、寝ていたベットからキッチンに走り出す。  少々狭いキッチンの小さいテーブルには、大きなハムとパン、牛乳があった。雲助にはきゅうりが皿に細かく刻まれてある。 「頂きます。雲助、明日はハリーのショーだよね」 「ヨルダン、楽しみか」 「勿論」  雲助はきゅうりの入った皿にいる。そして、恐ろしく器用に6本の足で刻んであるキュウリを口に一つずつ放り込む。 「また、ガラスを拭くのか」 「勿論。僕は外へ出たくないけど、この仕事が好きなんだ」  雲助が変わっているなと呟く。  僕はパンと牛乳をさっさと食べると、大きなハムを口に挟み雲助を肩へと乗せた。雲助はキュウリを食べかけだったが何も言わない。 「さあ、出かけよう。今日も仕事だ」 「ヨルダン。そのハムくれ……」  僕はコルジンの後を追いかける。さあ、今日も仕事だ。  ……ひどい迷路だった。  コルジンの後を追う僕は、右へ左へを何十回と繰り返し、とうとう頭から湯気を出した頃には天使の扉に辿り着いた。  天使の扉をようやく開けると、中の大人たちは僕の顔を見て笑いだした。 「ハッハッハ。よくここまで来れたね。昨日は道案内をしてやったが、今日は自力だもんな。驚いた。自分一人でよく来れたな」  コルジンは笑顔で僕の頭を撫でる。大人たちも笑いながら窓を拭く作業に戻った。  僕はこんがらがった頭を二三度振って、部屋の片隅にある。ポツンとしたバケツに歩み寄った。  バケツの近くの床に無造作に散らかっているボロ雑巾を手に取る。 「頑張るね。ヨルダン。今日は何か帰りに買ってやるぜ」  コルジンはボロ雑巾を持った僕に親指を立てる。
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