不思議なドア

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 泥だらけの壁には檻の中の動物の値段が数行、書いてあった。牛は500クレジット、豚、400クレジット、鳥は少量、1200クレジット。豚は一切れだと60クレジットだった。 「大丈夫、お金はあるよ。あ、鳥だけとても高いんだね。どうして?」  僕のお金では豚一切れだ。買おうかな? 「うーん、と。おやじの代からこの値段だからな……?要するに解らないんだよ。グッテン。解るか?」  マルコイは髭をポリポリしだした。 「え?鳥が何故高いのかって。私も解らないんだよ。ここには初めて来たし、正直……肉は一度も食べた時がないから」  グッテンはレタスをまた口に放り込み、興味がないといった顔をした。  僕が思うに、鳥は空と関係しているからだろうか。でも、単に数が少ないからかも。 「しかし……。私が思うに動物のえさは野菜や草だが、鳥だと貴重な卵の殻だから……。だと思う。それに数が少ない。マルコイひょっとして、交配技術を忘れたのかい?」 「いや、そうじゃないと思うんだが、何故か俺たちの代になってから数が減ったな」  そうか。鳥のえさが貴重なのは、僕も鷲を飼っているので知っていた。鷲には新鮮な生肉を小さいが数枚与えていたんだっけ。確かに育てるのが大変だ。  その時、僕のお腹が鳴った。 「あ……。私だけ食べていたんだったな。悪い、ヨルダンくん。その布袋にはパンが入っているが……」  グッテンはそう言うと、抱えているレタスを1枚剥がす。そして、徐に僕の口へとレタスを持って行った。布袋を開けようとした僕の口にはレタスが詰め込められる。 「むぐ。ちょっと待って!マルコイさん。僕、肉を買うよ」  僕はズボンのポケットから60クレジット出す。 「毎度あり。じゃあ、この中から選んでくれ」  そう言うと、マルコイは透明な幾つかのガラスを指差した。  それは、豚一切れの段だ。  僕はレタスを口いっぱいに噛みながら指差してから気が付いた。 「あ!」  僕はハリーのショーと、ハリーの約束を思い出したが、時すでに遅く。 「この肉でいいんだな。ここで調理するかい金はいらないぜ」  マルコイはガラスを一つ開けると、一切れの肉を取り出す。  そして、レジの上のオーブンで約15分。丁寧に青い紙に包装してくれたが、僕は浮かない顔で、やってしまったの顔をしていた。  顔が青くなりそうなのを、必死で堪えた。
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