不思議なドア

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 その後、再び迷路のような通路を心がしぼんだ僕とグッテンが歩く。  館の迷路は僕の頭にはこの時も入らなかった。 「明日は図書館に案内しよう。後、ハリーのショーを見るのかい。その後でいいよ」 「ありがとう。グッテン」  僕は今さっきほとんど自然の成り行きで、無くなった60クレジットに頭の大半を埋められていた。当然、上の空で聞いている。 「どうしよう……」  浮かない顔をして、青い紙を破り肉をグッテンのくれたレタスに包む。主食はグッテンから渡されたルージー夫妻が作ってくれたパンが二つ。  グッテンのレタス丸ごとと比べると、かなり豪勢な食事となった。 「なんだ、落ち込んでいるね。どうしたんだい?」  グッテンは小さくなったレタスを、頬張りながら僕の顔を覗き込む。 「明日のハリーのショーに使うお金を、さっき使っちゃったんだ。僕って馬鹿だよね。」 「あ、御免。私も悪いなこれは……。あの部屋へと入る時は必ず肉をお金で買う決まりなのさ。……さっきの肉の時だね。私はお金を持っていないからな。残念だが貸してやれない。けれど、コルジンから借りるといい。私が言っておくよ」  天使の扉に着くと、グッテンは俯いている僕をコルジンの前にとグイグイ引っ張って行った。中には昼食をおえて、再び仕事に戻ったコルジンたちがいた。大人たちはせっせと汗を掻きながら今日も一生懸命だ。  グッテンは、コルジンたちのいる途方もなく巨大なガラスの前まで僕を引張り、 「コルジン悪いが……幾ら位なのだい?」 「……」  グッテンの質問に僕は俯いた頭を振る。コルジンにお金を借りるのがとても悪い気がした。雑巾片手のコルジンが不思議がって、作業をしながらこちらに向く。 「どうしたんだい?」  僕を見つめるコルジンの顔の辺りが柔和になる。  グッテンは申し訳なさそうに頭を掻いてから、 「いや、私のせいでヨルダンが、ハリーのショーのためのお金をピンクのドアで、使ってしまったのさ。悪いがお金を貸してくれないか」 「それならいいぜ。あ、それなら俺と一緒に行こうぜ。おチビちゃん。言ってみりゃ君は俺の友達以上のちびっ子さ。大抵は金も貸してやるし、飯、寝床、風呂なんでもござれだ」  コルジンが顔をそのままにガッツポーズをした。 「ご安心下さい」  いきなり後ろの方から女性の事務的な声がした。
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