不思議なドア

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「神話では……グッテンから教えてもらったんだが。朝、目覚めたら。太陽という奴は、毎日毎日休むことなく天高く昇るんだそうだ。俺はそんな奴に感激し、体を鍛えてこの仕事を精一杯好きになったんだ。俺は例え金持ちになったとしても、娯楽が少しでもあれば十分。毎日仕事を精一杯するぜ」  コルジンはそう言うと、汚れた手で熱々のハムサンドバーガーに噛ぶりつきながら、 「飯食ったら早めにみんなと一緒に行こうや。おチビちゃんもその方がいいだろう」 「うん。これでハリーとの約束を守れるよ。後、太陽って……」  僕は熱々のハムサンドバーガーを急いで食べながら、太陽は人じゃないと言うのをやめた。僕は今の仕事に精を出すコルジンがとても好きだった。そんな彼に水をさすことはしない方がいいよね。  「あ、雲助の食事忘れていた。悪い雲助」  雲助はグッテンから見えない僕の頭の後ろに隠れていたが、 「腹が減るぞヨルダン」  と、蚊の泣く声を出した。 「僕の食べているハムサンドバーガーにある。サラダの部分。やるよ」  僕はそう言うと、雲助にハムサンドバーガーのサラダの部分にある。スライスされたキュウリをつまむと頭の方へと持っていく。  雲助が6本の腕で取り上げる。 「食おう。食おう。」  雲助は喜んでキュウリにありついた。  なかなかに美味しいハムサンドバーガーだった。あの嫌なルージー夫妻のハムサンドバーガーではなければ、きっともっと美味しく感じられたのに……。  コルジンや大人たちの話の中、グッテンはやっぱり沈んだ顔をしている。そんなに……ハリーが心配なのかな。  確かに館の亡霊に奥さんを殺されてしまったのは、やっぱり悲しいことだけど、でも、きっと楽しいショーだよ。そう、きっとだ。 「みなさん。そろそろ13時です。金色のドアへとお急ぎ下さい」  細い女が腕時計を見詰めて高い声を出す。  大人たちは一斉に青いエプロンを脱ぎ捨て、そして、天使の扉からぞろぞろと出てきた。細い女は一行の先頭に立ち、みんなを案内してくれる。僕は後ろを向くと、グッテンも付いて来ていた。 「今日のお給料は特別です。お支払いしますよ」  細い女が事務的に念を押してくれる。  僕はまた中途半端な仕事で給料を貰うことになってしまった。今度は絶対に仕事を最後までやり抜きたい。  金色のドアまで行く間は、みんな一言も喋らなくなった。
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