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細い通路をおどおどとルージー夫妻がステージへと向かう。
「さあ、勇敢なルージー夫妻はこの先どうなるのでしょう。見事全問正解し、豪華な賞金と旅行をゲット出来るのでしょうか? それとも、悲惨な末路へと辿り着くのでしょうか?」
ハリーが両目をぐるぐるまわし高揚して言った。
ルージー夫妻はといえば、妻の方は多少緊張しているが堂々とステージへと上った。一方、夫の方はオドオドしていて、辺りをキョロキョロしている。
「さあ。どっちが拷問椅子へと座るのか? 夫の方か妻か、どちらにしてもクイズの難しさは変わらないぞ!」
ハリーがステージの中央へとルージー夫妻を伴って、どちらが拷問椅子に座るのかと相談していた。
「拷問椅子に座ると、何が起きるのかな……。どんなクイズだろう?簡単に正解出来るのなら俺がやればよかったな」
グッテンの後ろの大人が気味の悪い言い方をした。
「恐らく、ただでは済まないな」
グッテンが呟く。
「僕が出てあげようか」
僕は嬉しい気分をそのまま声に出した。
「なんてこと」
グッテンが目を丸くして僕を見つめた。それから、頭を振って、
「前に言っただろう! ルージー夫妻はああ見えていい人たちだと……。ただ、心が弱いだけなんだ」
コルジンは何も言わずステージを見つめていた。
「さあ。奥さんの方が拷問椅子に座ることに決まった! では、夫の方はそこのクイズ台へと……」
照明が一斉にクイズ台と呼ばれた台を照らす。その台は黒い色で統一されていて、マイクが突き出て白い紐が天井からぶら下がっていた。どうやら、クイズに答える時に紐を引張るのだろう。
そこへ、ルージー夫妻の小柄な夫の方がちょこんと座る。
妻の方は熊のような大男のハリーによって、拷問椅子に拘束された。ステージの両隣から、全身黒いタイツを着た男たちが複数、ぞろぞろと出てきた。顔はのっぺら坊のようになっていて、誰だか解らないけど……背格好からして、大人たちだろう。
……前が見えるのだろうか。
「ハリーの部下たちだ」
ぞろぞろと現れる黒タイツにグッテンが呟く。
「キャサリン! 大丈夫だよ!」
ルージー夫妻の夫の方が緊張と混乱を乗せた声でそういうと、クイズ台に天国からかの白い照明が照らし始めた。その照明のせいでルージー夫妻の夫は仏像の光背のようなものを得た。
一方、キャサリンの方は不気味な赤い照明で照らされた。
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