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「ヨルダン。俺からも頼む。ルージー夫妻はきゅうりをくれる」
以外にも、雲助がルージー夫人を助けるようなことを言った。
「解ったよ……みんな」
僕はハリーの抑揚しい手振りで、クイズ台に座る。
本当はあまり乗り気じゃないんだよね。でも、このままルージー夫人が顔を焼いてもつまらないし、すっきりしない。しょうがないよね。
「ぐ……リスヘル」
キャサリン夫人が痛々しい火傷をしている顔で、僕を見ながら呟いた。リスヘルって……誰?
「人間の子。ヨルダン。きっと、ルージー夫人の子の名だよ」
雲助の言葉に、僕は合点がいった。
「さあ、第一問から行こうか。ヨルダンくん」
真っ白な照明が僕を照らし、金色の宝石となったハリーがマイクを持って言い放つ。ざわめいていた観客が学校のチャイムを聞いた時のように静かになった。
「この館のある場所の遥か遠くまで続く、湖の味は?」
「簡単……。しょっぱいさ」
「おお。ヨルダンくんは賢い。正解だ。どこで古文書を見開いたのか聞かせてほしいね。」
そんなふうに簡単な問題ばかりだよ。もっと難しい問題は無いのかな。僕は頭を捻って考えるような問題が出ないかと、今か今かとウズウズする。しかし、一方で僕の特別な女性が、僕の答えに一問一問驚きの顔をするのを僕は内心喜んだ。
それでも、ルージー夫人のためにクイズの問題を聞き逃さないようにする。
……しょうがないよね。
「では、第二問。この近辺にあるといわれる大木の名は?」
「簡単……オッド樹木さ」
僕の家の近くに立っている……。
「ははーあ。これはすごい。こんな賢い子は初めてだ」
ーーーー
「さあ、最後の問題だ」
ハリーが重い口調と顔を強張らせて、怖い顔をしてきた。と言っても。単に緊張感を醸し出したいのだろう。
「古文書の中でも最高の問題だ……。太陽というのがあって、それは空に浮かんでいるのです。けれど、空が暗くなると太陽は落っこちてしまう。さあ、どこに落ちるのか。どうだヨルダンくん。最高の問題だ。解るかな……?この問題が解ければ……君は金と旅行という二つのちっとも有触れていない幸運を掴むのだ」
ハリーは四方八方へと動いている両目で、僕を見詰める?
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