不思議なドア

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 辺りにとてもいい匂いがしてきて、僕は改めて空腹感を覚える。 「ほれ出来たぞ。じゃんじゃん召し上がれ」  ドッカと小さいテーブルにはみ出しそうな皿が二つ、大きなハムサンドバーガーだった。中の野菜はシチューのように味付けされた鍋の中で出来上がったようだ。分厚いハムは適度に火を通してあり、熱々の肉の旨味を醸し出していた。 「ありがとう」  僕はとてもおいしいハムサンドバーガーを御馳走になった。  肩に乗っていた蜘蛛はテーブルに落っこちてきて新鮮なキュウリにありついた。  中年男性とゆっくりとした食事を終えると、僕と蜘蛛のお腹がいっぱいになり、眠くなってきた。 「おチビちゃん。今日は泊まってきな」  小さいテーブルに向かいあった中年男性がシチューは美味いかとも言ったが、僕は眠気に打ち勝つことが出来ない頭でただ肯いて、 「ありがとう」  端っこのベットに寝かせてもらった。中年男性は床にタオルケットを敷いて寝転んだ。時間は今何時だろう。次第に眠気が僕の瞼を重くしていった……。 「坊主。明日はどの部屋で寝るんか」  肩の蜘蛛が薄い掛け布団の上に乗った。 「どこかにはこの部屋のようなところがあるさ」  僕はあまり気にせずに楽観視して眠りに着いた。  翌朝は天気が解らないので、取り合えず気分的に快晴。 「よお、おチビちゃん。おはよう。今、朝食を作るよ」  中年男性があっという間に起き出した。  僕は今までになかった爽快な気分で起き出す。ここにはあの意地悪な両親がいない。僕とドアの住人と蜘蛛だけだ。そうだ、蜘蛛に名前を付けよう。 「ねえ、蜘蛛。君は名前を持っているかい?」  ベットの上にいた蜘蛛は僕の肩までやってきて、 「それなら無いぞ。坊主」 「じゃあ。僕が付けてあげよう。蜘蛛……。雲助?雲助にしよう」  僕はうんと伸びをしてから、 「この館には雲や空が無いから、時々見たくなる空から名前を持ってきたんだ」 「雲助か……。まあいいだろう」  そんなことをしていると、 「出来たぞおチビちゃん」  今日は肉カレー。  せせこましいキッチンには中年男性と僕だけでスペースがいっぱいになった。カレーの匂いが充満し、それだけでも食欲が満たされそうだ。 「おチビちゃん。何日か泊まるのかい。泊まっていきなよ」  優しい中年男性の声に、
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