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しかし、信也には不安もあった。
実里は自分のことが好きなのか。
もしかしたら自分が勝手に妄想しているだけなのでは。
そうであれば本当の気持ちを聞くのが怖い。
「……ッ!!?」
信也の腹にまた激痛が襲ってきた。
あまりの痛みに、信也はその場に膝をつく。
これだ。これがもう一つの不安だ。
恐怖だ。
自分の持病が実里に知れたら、彼女はきっと悲しむに違いない。
そして、自分から遠ざかっていくに違いないんだ。
そんなのって……嫌だ。
「……うあっ、い、いてえッ……!」
この痛みと付き合って1か月ぐらいになるが、日に日に症状は悪化しているようだった。
そして、いつものなら、この痛みはすぐ治まるのだが、この日はなかなか治まらなかった。
腹をナイフで刺されたような激痛が容赦なく信也を苦しめる。
「う”あ”ぁ”ぁ”ァ”ァ”ッ!!!!」
激痛のあまり信也はそのまま気を失った。
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