4.命の選択

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それは、残酷な決断でもあった。 本当ならその子はこの世に生をもって、信也と一緒に暮らせたはずなのに。 畸形嚢腫であるがために、その子を殺すことになるのだ。 信也は、医師の言葉に強く反抗を抱いた。 「……俺は、医者を目指しています。  医者は一人でも多くの命を救うんじゃなかったのですか!?  本当ならこの子は生きてたんです、今だって生きてます!  それなのに、殺すなんて、嫌です!」 「信也ッ!」 母親が信也を怒鳴りつける。 医師は少し困りながらも、優しく信也に話しかける。 「信也くん、これは君自身の命が危ないんだ。  それに、畸形嚢腫は未完成な臓器でしかないんだ。  確実にこの世界で生きていけるのはどっちだと思う?  君が生きていくしかないんだ」 「でも、……この子が」 「この子だって、君には生きてほしいはずだよ。  この子の分まで、生きていかなければならないんだ」 「…………」
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