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言葉が出なかった。
とうとう明日、手術を受けることになった。
自分にはどうすることもできない。
この子を救うこともできない。
世界はこんな残酷なのか。
医師は人の命を救うためにいるんじゃないのか。
「……信也くん」
「……!?」
公園のベンチに座っていたら、実里が目の前に立っていた。
「実里さん、俺、最低だ……。
実は腫瘍が畸形嚢腫で、摘出するって。
この子だって生きてる。でも助けられない。
俺は何もできなかった。
……医師になる資格なんて、ないッ」
目から涙が零れ落ちた。
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