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「なるほど。
じゃ、そんな信也くんに質問です」
「は、はい」
突然、実里が真剣な目をして口を開く。
「どこまでが人なんだと思う?
例えば、死体は人? 胎児は人?
一体どこまでが人で、どこからが人ではないのか?
その境界線がどこにあると思いますか?」
難しい質問だ。
答えなどあるのだろうか。
いや、これはあくまで信也自身の考え方を求められているだけだ。
考えを実里に伝えなければならない、そう思った。
「……生きている限り人だと思う、生まれてから死ぬまで。
たとえ昏睡状態、植物状態、どんな状態であろうとも。
生きている……人なんだと」
実里は信也の言葉を聞いて笑顔になった。
信也も実里の表情を見てほっと安心する。
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