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 赤坂屋らりる(あかさかや〃)は口を真一文字に結んでいる。  休日の午後三時ごろだ。地図アプリと格闘して辿りついた喫茶店は奇妙に奥まったところにあって、待ち合わせ相手の作家はプロだけあって色々と気をつけているのだろうかと想像した。  まさか親戚にプロ作家がいるとは思ってもみなかった。噂好きのヨシノのおばさんはそのプロ作家のブログまで教えてくれた。  プロフィールの一行を思い返す。        プロの作家です。経歴をたずねないと約束してくれるなら友人になりましょう。  ブログに載っている名前で検索をかけても何もヒットしなかった。プロが偽名で遊んでいるといったところか。  中身は小説であり、さすがにプロといった具合で読みやすかった。こうして会おうと決めたのはプロから指南をいただきたかったからだ。  らりるは小説を書こうとしていた。  深呼吸をしてから喫茶店に入る。  煙たい。 「こっちだこっち」  気軽に呼ぶ声がする。入り口そばの四人がけ席に駆け寄った。 「こんにちは! 赤坂屋らりると言います! 今日はお忙しいところご足労いただきありがとうございます!」
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