第1章

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チャイムの音を聴くといつも陰鬱になる。 これから〝面倒〟の一言で片付くようなプライドでできた大人達のいらない知識を授かる訳だ。 赤嶋葉月(アカシマハヅキ)はため息を吐いた。 せめて、〝魔〟の授業だったら…。 〝魔〟は16年前から姿を現した。〈狂気遺伝子〉を持っている者達ーー特にSAN値が高い者は〝魔〟に感化されて人格崩壊し、人殺しを始めた。全世界で起こったことだ。ここ栗林町(クリバヤシチョウ)などの電気の通らないような田舎町まで逃げた者だけが残った。 それでも〝魔〟は何者かに操られ、人々のSAN値を下げに鬱蒼としたど田舎で満月の夜を徘徊していた。 葉月は教師に当てられ立ち上がった。 「答えはxy=adc+beです。少し風邪引いてるようなので保健室に行かせて下さい」 教師は不満そうに言った。 「風邪長引くなら休んだらどうです?いつも保険室に行って…答えは完璧でしたよ」 葉月はお転婆に跳ね回っているショートを整えながら、堂々と教室を出る。 チラッと黒髪ロングの美少女、水無月みりあ(ミナツキミリア)と視線がぶつかった。お互い冷ややかに突き放すかのように視線を逸らした。 葉月は水無月みりあを憎んでいた。
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